事業から株主までの価値連鎖

数字を写す前に、表の意味を確定する

貸借対照表はある日の状態を表す。損益計算書とキャッシュフロー計算書は、ある期間に起きた活動を表す。AAOIの2026年6月期10-Qでは、損益の表に三か月と六か月の列が並び、貸借対照表には6月30日と前年12月31日が並ぶ。単位は千米ドルだ。191,922を百万ドルだと読んだり、六か月の現金支出を三か月の売上と比較したりすれば、評価モデルを作る前に誤りが入る。発行体、書類の種類、訂正の有無、対象期間、通貨、単位、GAAPかどうかを、数字の横に固定しておく。

AAOIの2026年第2四半期の売上は1億9,192.2万ドル、粗利益は5,320.7万ドルだ。筆者の計算では粗利率は約27.72%になる。2025年通期の売上4億5,571.5万ドル、粗利益1億3,691.3万ドルから計算する通期粗利率は約30.04%だ。しかし、この二つを並べただけで前四半期から粗利率が下がったと言ってはいけない。通期には四つの四半期が含まれる。同じ四半期同士、または同じ長さの期間同士で比較して初めて、変化の意味を検討できる。

  1. 1損益:売上
  2. 2売上原価
  3. 3粗利益
  4. 4営業費用
  1. 1現金の照合:純利益
  2. 2非現金項目
  3. 3運転資金
  4. 4営業キャッシュフロー
  1. 1投資後の現金:営業キャッシュフロー
  2. 2設備購入
  3. 3資金調達の必要額
順序と役割を、ひとつずつ分けて考える

売上が伸びても、光製品メーカーの現金は減り得る

AAOIの2025年通期では、営業活動による現金の使用が1億7,442.8万ドル、設備購入が1億7,914.8万ドルだった。営業キャッシュフローから設備購入を引いた値はマイナス3億5,357.6万ドルになる。これはここで定義した現金を見るための計算で、GAAP上の正式な行項目ではない。他の投資取引や資金調達を含まず、設備投資が将来十分な利益を生むかも示さない。投資後の現金がマイナスでも、有望な増産を支えている場合と、成果につながらない投資の場合がある。顧客認定、稼働率、回収、将来の利益率を追って区別する。

2026年6月末の売掛金は3億1,400.9万ドル、在庫は2億7,879.1万ドルで、上半期の営業活動による現金使用は7,378.1万ドルだった。この残高から問うべきことは、顧客の支払条件、売上計上のタイミング、在庫の中身、生産計画である。期末売掛金を四半期売上で割って90を掛けると、回収期間に関する粗い点検値は作れる。ただし平均残高、実際の四半期日数、顧客構成、期末の出荷集中を無視するため、正式な売上債権回転日数と扱わない。計算の近道には、捨てた情報を必ず添える。

同じ会社の中にも違う採算がある

Bloomの2026年6月期10-Q/Aに示された四半期売上は10億6,536.5万ドル、粗利益は3億5,557.2万ドルで、全体の粗利率は筆者の計算で約33.38%だ。製品売上9億3,541.3万ドルに対する原価は5億9,395.7万ドル。一方、設置の売上5,097.8万ドルに対する原価は5,282.9万ドルで、この期間の設置粗利益はマイナスになっている。会社全体の利益率を、すべての事業活動へそのまま当てはめられないことが分かる。

製品、設置、保守、電力を分けて見ると、利益率の高い製品構成の伸びによって全体が改善していても、導入や維持に負担が残る可能性を考えられる。ただし、この期間の構成が永遠に続くとも限らない。純利益全体と普通株主に帰属する利益も区別する。後者は非支配持分などを考慮しており、普通株の一株当たり利益を考える出発点になる。訂正書類は別の開示イベントなので、元の提出と訂正の日付を混ぜず、訂正後の表を使ったことを残す。

次の四半期でも使える抽出手順

会社ごとに、期間、売上、粗利益、営業利益、営業キャッシュフロー、設備購入、現金、負債、希薄化後株数の列を作る。確認していない値は未確認として残し、別の情報会社の比率から逆算して埋めない。報告値には表へのリンクを置き、自分の計算には式を置く。その後、利益と現金の差を非現金費用、運転資金、再投資の三つから調べる。投資仮説に都合のよい説明を選ぶ前に、実際の調整表と突き合わせる。

練習として、年間売上1,200の仮想会社で入金が30日遅れる場合を計算する。売上が均等なら、約100の追加資金が売掛金に固定される。利益が変わらなくても、必要な資金は100増える。実際の会社では契約条件と平均残高を使う必要があるが、この例だけでも、利益のモデルと現金のモデルを別に作る理由が見える。次回決算では同じ定義を使い、売上の伸び、粗利、回収の三つが同時に改善しているかを確認しよう。

設備投資の時期と減価償却の時期を分ける

仮に装置を100で買い、単純化のため五年間で均等に費用化すると、購入時に100の現金が出て、各年の損益には20の費用が出る。最初の年の利益だけを見ると、必要だった現金100を見落とす。逆に翌年は装置を追加購入しなければ、同じ20の費用があっても、その装置のための現金支出は発生しない。実際には耐用年数、稼働開始、除却、追加投資が異なるため、会社の注記を使う。これは会計を理解するための仮想例である。

利益の改善と現金の改善を比較するとき、表の項目が同じ名前でも範囲が変わっていないか確認する。事業売却、買収、会計方針の変更があれば、過去の数字を単純に並べられない場合がある。粗利率の計算が合っても、比較の条件が違えば結論はずれる。数値抽出、単位確認、比較可能性の確認を順に行い、最後に事業の説明を付ける。

VALUATION / 仮想的な入力

一つの前提で、評価はいくら変わるか。

65.57 単位/株企業価値:7357百万単位。

仮想モデル:現在の年間現金500百万、負債1,000百万、現金200百万、希薄化後100百万株。EV = 現金 × (1 + g) / (r − g)、株式価値 = EV − 負債 + 現金。直ちに永久成長する仮定で移行期間や他の請求権を省きます。特定企業の入力や目標株価は使っていません。

出典

01
AAOI Q2 2026 Form 10-Q ↗www.sec.gov · 2026-08-06
02
AAOI FY2025 Form 10-K ↗www.sec.gov · 2026-02-26
03
Bloom Energy June 2026 Form 10-Q/A ↗www.sec.gov · 2026-07-29
04
Investor.gov: Using EDGAR to Research Investments ↗www.investor.gov · unknown

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