利益だけでは案件に資金を供給しない
機器と保守の会社では、現金の問いは時系列である。部材、労務、顧客預り金、売掛金、在庫、保証、利払い、株式報酬は、売上認識と違う時点に動く。利益が出た期でも在庫・売掛金が増えれば現金を使い、現金増加も営業ではなく資金調達によることがある。答えは一つの調整後利益ではなく、キャッシュフロー計算書と注記にある。
Bloomの2026年3月期10-Qは、当該3か月の営業キャッシュフロー73.6百万ドルを示し、負債と流動性を別に説明する(10-Q)。これはその期間の測定値で、通年の予測ではない。数字には期と単位を常に付ける。
営業現金を先に照合する
純利益から出発し、非現金費用と運転資本の増減を追う。売掛金の増加は認識後の回収待ち、在庫増加は製造準備または負担を示し得るが、自動的に原因を決めてはならない。預り金・契約負債は売上より前の資金になる。注記で重要な要因を確認する。
投資CFと財務CFも分ける。設備・案件資産は投資、転換社債、借入、返済、株式発行、報酬は財務の問いである。将来の案件資金枠は手元現金でも無条件の受注でもなく、条件、相手方、引出し要件を持つ。
希薄化は分母への請求権である
基本株式数、希薄化後加重平均、オプション、RSU、転換証券は別の計算に使う。見出しの株価に古い株数を掛けず、転換条件、満期、利息、コール、決済方法を提出書類で読む。教材用に、在庫100、預り30、受入時の売上80、後日の回収50を置けば、売上80でも他条件を除く営業現金はマイナス20になり得る。これはBloomの予測ではない。
演習
期首現金、営業CF、投資CF、財務CF、期末現金を一枚でつなぎ、基本株数、開示済み証券、未確認の転換条件を別表にする。空欄を推計で埋めない。
運転資本は案件の時間差を記録する
設備供給では、売上認識、請求、回収、部材購入、製造、据付、顧客受入が同じ日に起きない。売掛金が増えるなら、認識した売上がまだ現金になっていない可能性がある。在庫が増えるなら、将来の納入の準備か、需要・供給の不一致かを注記で調べる。契約負債や顧客預り金が増えるなら、現金を先に受けた一方で将来の履行義務がある。この順序を見ずに営業CFだけを「需要」の指標にしてはいけない。
さらに、プロジェクト資金と会社の一般資金は分ける。融資枠、第三者資金、顧客の資金承認は、条件を満たすまで期末現金と同じではない。会社が資金枠を開示しても、案件の投資条件、相手方の承認、金利、担保、返済順位、実行時期が不明なら、使える現金として二重計上しない。財務の強さは、手元現金、営業で生じる現金、必要な資金調達、満期の順序を一枚の時間線で見る。
数量例:利益、回収、希薄化を別に計算する
教材用に、ある四半期に売上100、費用85、税等を無視した利益15とする。同じ期間に売掛金が20増え、在庫が12増え、買掛金が7増えたなら、他の要素を除く営業現金は15−20−12+7でマイナス10になる。利益が正でも現金が負になり得る理由は、会計の誤りではなく時間差である。翌期に売掛金が回収されても、在庫の回転や追加受注が変われば同じ動きになるとは限らない。
希薄化も別表にする。基本株数が100、条件を満たした追加株式相当が10なら、単純な教材例では一株当たりの分母は100から110へ動く。しかし実際の転換証券は価格、満期、現金決済、反希薄化の会計処理を持つ。株価や利益の仮定だけで潜在株数を決めず、提出書類の条件を読む。これは投資勧誘ではなく、分子の現金と分母の請求権を混ぜないための計算である。
小さな実験
一つの10-Qを使い、期首現金、営業CF、投資CF、財務CF、期末現金を転記して算術がつながるか確かめる。次に営業CFの調整項目から、売掛金、在庫、契約負債、非現金費用を抜き、どれが当期の差を大きくしたかを注記に戻って確認する。最後に基本株数、希薄化後株数、転換・報酬に関する開示を別紙に置く。文書に無い将来の発行や回収は空欄にする。
資金計画の感度分析では、回収が30日遅れる、在庫回転が一回下がる、追加借入の金利が上がる、株式報酬が増える、のように一つだけを変える。複数を同時に変えると原因を追えない。各ケースで期末現金、負債、潜在株数、案件の開始可否を別に書く。こうして利益見通しと流動性見通しを区別できる。
- 1受注
- 2在庫と預り金
- 3納入・受入
- 4売掛金
- 5回収
- 1営業CF + 投資CF + 財務CF
- 2期末現金
- 1負債と株式証券
- 2条件
- 3希薄化シナリオ
成長に必要な資金と、返済できる資金を区別する
増産のために借入を使う場合、売上が伸びる日と返済日を別々の線に置く。仮に現金100、半年以内の支払80、予想した営業入金40なら、入金が予定通りの場合の余裕は60だ。しかし入金が半年遅れれば、支払時点の余裕は20になる。さらに受入が遅れて保管費用が発生すれば減る。通期の利益率が良くても、支払時点の現金が十分とは限らない。これはBloomの予測ではなく、運転資金を考えるための場面である。
株式で資金を調達した場合、借入と違って元本返済が不要でも、既存株主の割合は変わる。必要な投資に十分な収益があるなら有益な調達になり得るが、その評価には一株当たりの現金も必要だ。会社全体の現金が二割増え、株数が三割増えたら、一株当たりの倍率は1.2÷1.3で約0.923になる。増えた現金だけを見て取り分が増えたと考えない。
POWER / 仮想的な入力
ITの電力と、施設全体のエネルギーを分ける。
年間エネルギー = IT MW × PUE × 負荷率80% × 8,760時間。PUE = 施設全体のエネルギー / ITエネルギー。季節変化や停止を省いた概算で、系統接続、燃料消費、発電効率は示しません。
出典
01自分のノート